子どもの頃、宿題で「音読(おんどく)」した記憶はありませんか?
音読は、文字を目で見て、口から声に出し、その音を聞きます。
視覚聴覚を同時に刺激することで、脳の活性化に効果があるとされています。
音読で脳トレする題材なら、心も鍛えられる、古典で決まりでしょう!
子どもの音読、大人の音読
小中学校の宿題で、意味も分からず古典を音読し、必死で暗記した記憶はありませんか?
私はあります。正直なところ、苦手でした。
『吾れ十有五にして学に志す。三十にして 立つ…』(孔子の『論語』より)
『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色。盛者必衰の理をあらはす…』(『平家物語』より)
これがいったい、何の役に立つのだろうと思いながらも、まぁ宿題でしたからね…。
強制的に頭に叩き込み、先生に当てられないよう祈りました。
懐かしい思い出です。
しかし、大人になって、ふとこのような古典を声に出してみると、
なんだか、しっくりくるなぁ…という感覚に驚いています。
時代に淘汰された古典の言葉は整っていて、音のリズムもテンポも気持ちがいいのです。
しかも、目で見て、口から声を出し、その音を耳で聞くという行為は、脳の活性化に効果があるというではありませんか。
しかも、昔自分が触れた『懐かしい』文学ならば、より一層効果が期待できそうです。
『音読(おんどく)』
これは、奥の深い世界ですよ!
古典音読のきっかけ
古典文学を音読しようと思ったのには、理由があります。
齋藤孝先生の『声に出して読みたい日本語』
と、言いたいところですが、違います。
高校の頃に買って読みましたが、声には出さなかったです。
齋藤先生、ごめんなさい。
音読を始める直接のきっかけとなったのは、息子の通う学習会でした。
メシが食える大人を目指す『花まる学習会』
初回、こちらで使う教材を渡されて、目を見張りました。
音読、素読み、書き写しなど国語力を培う題材が、容赦なかったからです。
『論語』、『源氏物語』、『平家物語』などの定番古典。
さらには、松尾芭蕉、夏目漱石、竹久夢二、与謝野晶子と大御所先生が並びます。
「子ども向け」の内容ではありません。
受験するわけでもないのに、6歳でこの教材は難解すぎやしないかと、正直驚きました。
それでも、子どもは先生に続いて声に出たり、書いたりして、
「楽しかった!」
と、笑顔で言ったのです。
私は、教材のパっと開いたところを声に出して読みました。
清少納言『枕草子』
『春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて…』
夏目漱石『草枕』
『山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される…』
うん、確かに。
声に出すと、おもしろいかも。
そうだね、息子。確かに楽しい。意味分かんなくても楽しいよコレ!
結論。 音読は健康にいい!
明治大学文学部教授の齋藤孝先生は、
『鍛え抜かれ、滋養にみちた言葉を、暗誦・朗誦すると心と身体が丈夫になる』
とおっしゃっています。
高齢者施設でのレクレーションで音読を取り入れると、のどの運動になり、誤嚥性肺炎の予防も期待できるのだとか。
歌やカラオケは苦手で…という方でも、音読なら気軽に始められます。
いいことづくめです。
音読で心と体の両方を整え、健康になっちゃいましょう。
オススメの音読本
音読する教材は、決まりなんてありません。
詩でも小説でも、好きな作品を選び、好きなだけ声に出してみるだけです。
読みたくても読んでこなかった、古典や名著に手を出すのも一興です。
大好きな作家の小説を数ページずつ読み上げるのも、シェイクスピアのようなドラマチックな台詞の朗読も面白いです。
もし、作品選びに迷うようでしたら、オススメは齋藤孝先生の『声に出して読みたい日本語』シリーズです。
この定番には、子ども版も出ています。
1分で読み切れるような音読用の本も、取り組みやすくてオススメです。
我が家では、息子が音読したら、次は私という感じで、お互いに音読しています。
「うん。まぁまぁ…かな」
など、息子の評価ももらえます( ´∀` )
最近は、北原白秋の『五十音』がお気に入りです。
『アメンボ赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。浮藻にこえびもおよいでる…』
ほら、どうでしょう?
テンポよくお腹から声を出すと、なんだか、元気になりませんか?
ではまた、次回。
レトロな世界でお会いしましょう!
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