私の学校での楽しみといえば、友人とのおしゃべり、そして給食!
私は給食が食べたくて、教職課程へ進もうかと本気で考えたことがあります。
「先生が遅刻したり授業サボったら…、やっぱりダメだよなぁ」
と思って、やめました。正解だったと思います(笑)
思い出に残る給食メニュー
あなたは、学生時代に食べた給食で、思い出に残っているメニューはありますか?
鯨(くじら)の竜田揚げ
これを挙げる方もいらっしゃるかもしれないですね。
昭和40年ごろまでは、提供されていたようです。
脱脂粉乳
本当にまずくて! と脳裏に焼きついていらっしゃるかもしれません。
ぬるくなって表面に張った膜がなにより苦痛だったと、聞いたことがあります。
揚げパン、冷凍みかん、カレーソフト麺、ミルメーク…
このあたりに、人気が集まりそうですね。
給食の献立とともに、浮かんできた思い出には、どんなものがありますか?
私は、ひなまつり給食で出される、ひし形の三食ゼリーが大好きでした♪
これは、関西方面でしか提供されていないようです。
さぁ、給食が食べたくなってきたあなた。
懐かしの給食メニューが楽しめるお店に足を運んでみても、面白いかもしれません。
懐かしの給食メニューが楽しめる♪ 『個室居酒屋 6年4組』
そして、忘れてはならないのが、今回のテーマ、給食の「ミルク」!
これ。これですよ!!
私の世代(30代)の給食のミルクと言えば、ビン牛乳!
懐かしいですねぇ。
…え、ずっと紙パックだった? まだビン牛乳飲んでる?
あぁ~、両の方とも、スミマセン!!
現在の給食献立
現在提供されている、給食の実態はどうなっているのか。
息子の給食のメニューを例に見てみます。
献立には、季節、伝統行事、海外の食事などを取り入れた、多様な内容になっています。
11月を例に挙げると、「文化の日」の文化勲章にちなんだ菊花ごはん。
海外メニューですと、八宝菜(中国)に、チキンパルミジャーノサンド(米国)、シナモンロール(フィンランド)
地元野菜を使った献立や、フードロスを避けるため、コロナで需要の減った高級食材の提供を受けた日もありました。
栄養士さんの工夫が随所に見て取れ、保護者としてはいつも感激しております。
敢えて個人的な希望を言えば、給食の白米を分づき米、パンを全粒粉にする「捨てない給食」に欲しいですけどね…。
それはさておき。
「全国では、どんなメニューがあるの?」
「今の子どもは、どんな給食を食べているの?」
と気になった方は、こちらのサイトからご覧いただけます。
『給食ひろば』(全国の栄養士のためのコミュニティサイト)
昔も今も皆勤賞食材「ミルク」
今も昔も、和食だろうがパンだろうが、どんなメニューの日でも「牛乳」は必ず入っています。
息子の場合、ビンではなくて、こちらの紙パックで提供されています。
学校給食用の牛乳が、牛乳消費量の1割を占めていることをご存知ですか?
牛乳が献立に入っていない日はありません。
それはなぜか?
理由は意外と知られていないかもしれませんね。
日本の法に定まっているから、なんです。
学校給食法施行規則(昭和二十九年文部省令第二十四号)
こちら、サッと飛ばして結構です。長いですからね…。
昭和29年、今から67年前に作られた法律に、学校給食法があります。
昭和二十九年文部省令第二十四号学校給食法施行規則学校給食法施行令(昭和二十九年政令第二百十二号)第一条及び第十三条の規定に基き、学校給食法施行規則を次のように定めています。
第一条 学校給食法施行令(以下「令」という。)第一条に規定する学校給食の開設の届出は、学校ごとに次の各号に掲げる事項を記載した届出書をもつてしなければならない。
一 学校給食の実施人員
二 完全給食、補食給食又はミルク給食の別(以下「学校給食の区分」という。)及び毎週の実施回数
三 学校給食の運営のための職員組織
四 学校給食の運営に要する経費及び維持の方法
五 学校給食の開設の時期
2 完全給食とは、給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。
3 補食給食とは、完全給食以外の給食で、給食内容がミルク及びおかず等である給食をいう。
4 ミルク給食とは、給食内容がミルクのみである給食をいう。
5 第一項各号に掲げる事項を変更しようとするときは、当該変更が軽微なものである場合を除き、変更の事由及び時期を記載した書類を添えて、その旨を都道府県の教育委員会に届け出なければならない。
6 都道府県の教育委員会は、第一項及び第五項に規定する届出に関し、届出書の様式その他必要な事項を定めることができる。
e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329M50000080024
「ミルク」の単語が頻繁に出てきますねぇ…。
法が制定された戦後の「ミルク」は、牛乳というより脱脂粉乳が想定されていたと思われます。
そして、給食の種類には3種類あり、すべてにおいて「ミルク」を外していません。
そのため、日本ではどのような給食メニューの日においても、ミルク(脱脂粉乳や牛乳)が提供され続けてきたのです。
ハンバーガーひとつに使われる水は、シャワー3か月分
江戸時代まで日本には、牛乳や牛肉を口にするような、肉食の文化はありませんでした。
明治時代にすき焼きなどが登場しますが、上流階級のみが食べられた超贅沢品です。
牛乳の資料が少なかったので、牛肉で今昔を比較したいと思います。
昭和60年(1960年)ですら、1人当たり牛肉の年間消費量は、たったの約1キロ。
それが、2010年時点では約6キロになっています。
鶏・豚・牛の食肉を合計すると、3.5キロ だった消費量が、約60年で30キロにまで増加しています。
(資料:農林水産省「畜産統計」「食料需給表」)
この数字は、日本が豊かになったと同時に、環境への負荷を増大させてきたと言い換えることができます。
牛やブタのふんや尿、牛のげっぷやおならから、温室効果ガスが発生しているからです。
また、家畜の飼料には大量の水と穀物が必要であり、全世界が直面する差し迫った課題です。
『ハンバーガーひとつに、3か月分のシャワーの水が使われている』
そんな試算を見ると、ドキッとさせられます。
(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 『10の環境問題まとめ』より)
法で定められている学校給食の「ミルク」も、その内容を再考する時期がきているのかもしれません。
代替ミルク(オルタナティブミルク)
「もし、学校給食のミルクを、牛乳ではない何かに替えるとしたら?」
この解のひとつに、代替ミルクが挙げられます。
代替ミルク(オルタナティブミルク)とは、牛乳の代わりとなる、植物性由来のミルクです。
一例を下記に挙げてみたいと思います。
・豆乳(ソイミルク)
・アーモンドミルク
・オーツミルク(オーツ麦)
・ライスミルク(米・玄米)
・ココナッツミルク
・ヘンプミルク(麻の実)
日本では、第2のミルク「豆乳」が最も一般化している商品ではないでしょうか。
とはいえ、豆乳はカルシウム含有量が牛乳の約15%しかないので、他の素材で補う必要があります。
何より、子どもの好き嫌いが、牛乳よりも分かれそうですね…(´-ω-`)
環境負荷の少ない給食へのシフト
年末年始は、寒くて消費が落ち込むうえ、学校給食がなくなるダブルパンチにより、牛乳の消費量が落ち込むそうです。
生乳の大量廃棄を食い止めようと、農水省が「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」を打ち出しています。
乳牛さんにとっては、寒かろうが正月だろうが、毎日搾乳しないと病気になるので、牛乳を「モ~1杯」飲む取り組みです。
我が家でも、給食がなくなる長期休暇は、牛乳が大好きな息子のために多めに購入しています。
牛乳は、栄養価およびコスト面において優秀な食材であり、畜産農家さんへ影響も甚だしく大きな問題なので、慎重な議論が必要です。
それでも、です。
今の子どもたちが大人になるころには、気候変動に対する意識は、現在の比ではないでしょう。
環境に負荷の少ないものへの投資・消費は、世界的に加速しています。
また、学校給食物資開発流通研究協会(学流協)による、令和4年度の「学流協の推奨品」として、大豆ミートが登場してきました。
合いびき肉ではなく大豆ミートのハンバーグ。そして、牛乳ではなくオーツミルクの給食献立。
「脱脂粉乳」「ビン牛乳」が懐かしがられるように、給食での「牛乳提供義務」が懐かしいねと言われる日も、そう遠くないのかもしれません。
ミルク談義、奥が深いですね。
ではまた、次回!
コメント