『寝台列車』『食堂車』『ブルトレ』
この、昭和感溢れるワードに心惹かれませんか?
かつての寝台列車『北斗星』の食堂車両でお食事ができる、ベーカリーレストランへ行ってきました。
寝台列車も食堂車も、今は超絶高級になりました
高級列車などは例外ですが、寝台列車・食堂車はほとんど姿を消してしまいました。
長距離を短時間で結ぶ、新幹線が一般的となったためです。
正直なところ、鉄子ではない私にとっては、
「ふぅん。そうなんだ~」
くらいの出来事のように思っておりました。
好きな駅弁を席で食べ、寝台列車よりも、ホテルのふかふかベッドで寝たい派なもので…。
しかし、THE・てっちゃんである息子にとって、北斗星やトワイライトエクスプレスにもう乗れない、新幹線に食堂車がないという事実は、
「くそぅ、なぜもっと早くに産まれてこなかったのかぁ~!!」
くらいの、嘆かわしいことらしいです。
しかし、彼の夢をかなえようとすると、『ななつ星 in 九州』3泊4日コースで、1人70万円というお値段設定でございます(様々なコースがありますけどね)
なっ、吐血しそうじゃないですかっ…。
庶民でも、お子ちゃまでも、食堂車でごはん食べてみたいよ!
ということなので、特別なランチに出かけることにしました。
ベーカリーレストラン グランシャリオ
食堂車両でお食事ができるレストランは他にもありますが、メニューにお子ちゃま大好き「カレー」がある、こちらを選びました☆
寝台特急『北斗星(ほくとせい)
寝台特急『北斗星(ほくとせい)』は、かつて上野駅と札幌駅間を走行する夜行の寝台列車でした。
夕方に上野駅を出発して、札幌に到着するのは朝です。(例: 上野駅 17:18発 → 札幌駅 9:44着)
『ブルートレイン』とも呼ばれます。
これは、JRの長距離寝台列車・夜行特急列車の愛称で、客車の車体が青色で塗装されたからです。
略して「ブルトレ」。
この呼び名に懐かしいと感じる方も少なくないと思います。
かつての『あさかぜ』『富士』『はやぶさ』も、ブルートレイン仲間です。
ベーカリーレストラン グランシャリオ
かつてのブルートレイン『北斗星』の食堂車の一両は、現在埼玉県川口市に『 ベーカリーレストラン グランシャリオ 』として生まれ変わっています。
意外性のある、渋い門をくぐって、早速中へ入ってみましょう!
ワインレッドの、細い通路を抜けます。壁を隔てた左側がキッチンです。
こちらが食堂車内。周囲の喧騒とは全くの別空間です。
照明などのインテリアや、スピーカー、上品な椅子など、できる限り現役時のまま残されているそうです。
バブリーな雰囲気と、重厚感が漂っていますね。
この状態で、東京から北海道を夜間走っていたのかと思うと、ワクワクします。
2名席と、4名席があります。
ドアも豪華ですねぇ。
『北斗星』で提供されていた、当時のディナーメニューも見ることができます。
本格フランス料理、もしくは懐石膳から選べ、大変人気だったようです。
ディナー終了後は、夜11時までパブタイム、朝はモーニングが提供されていたそうです。
『グランシャリオ』のランチ
今現在、こちらのレストランでは、モーニング、ランチ、カフェ、ディナーを楽しむことがます。
ランチメニューはカジュアルな構成で、90分制です。(2021年11月現在)
今回は、パンブッフェが付いたお手頃ランチをいただきます。
ちなみに、乗車料金は無料になったそうです。
お子さまメニュー(小学生以下)があるのは、子連れにとっては嬉しいですね☆
こちらはトマトたっぷりハヤシソースのランチセット。
自家製の焼きたてパンは食べ放題で、サラダ・スープ・ドリンクもついてきます。
お子さまメニューにカレーがなかったため、息子は大人用のカレーを注文しました。
さらに、息子はカレーライスじゃなきゃイヤだとわがままを言い、ライスを追加注文しました。
せっかく、焼きたてパンが食べ放題なのにねぇ…(´;ω;`)
こちらはシチューのランチセットです。
オリーブオイルがそうさせるのか、パンにつけて食べると、思わず笑顔がこぼれちゃいます。
美味しい~!
パンもおかわりして、ホットカフェオレとプチデザート(+100円)も堪能して、大変満足でございました。
この他にも、イタリアンやお蕎麦のランチも選べます。その場合は予約が必要とのこと。
食事の途中、小さい地震かな? と感じるような揺れが何度もありました。
人が歩くと、バネによって車体が少し揺れるのだそう。
食堂車レストランならではの体験ですね!
グランシャリオ お客様ノート
食堂車入り口付近には、『お客様ノート』が何冊も置いてありました。
こちらのレストランを訪れた方々の書き込みや、イラストなどが描かれています。
遠く北海道から来られた方のコメント、イラストレーターさんが描かれた見事な車体など、見るだけでも価値のあるノートです。
この食堂車が多くの方から愛されていることが、よく分かります。
食事のあと、息子も『お客様ノート』 に電車の絵を上機嫌で描いていました。
ボールペンだけだったから、次は色鉛筆を持参しようねぇ♪
おとなりに座った仲の良さそうなご夫婦は『北斗星』を何度も利用したことがあるそうで、
「この雰囲気、懐かしいね」
と会話しながら、ゆっくりお食事を楽しんでいらっしゃいました。
奥に座ったファミリーのパパは、
「学生の頃『北斗星』は何度も乗ったけど、グランシャリオは高くて利用できなかった。一度食べてみたかったんだよ」
と、子どもたちに話していました。
それぞれの物語が、この車両には詰まっているのだと、改めて感じましたね。
『懐かしい』を守る、だけじゃない
思い出の詰まった空間での楽しい食事、最高ですね。
しかしながら、古い車両を所有し、これだけのものを維持・管理していくのは、一筋縄ではいかないのでは…、と思われた方も多いと思います。
これからも変わらず、私も守っていただきたいと思います。
そして、老朽化したグランシャリオを守るため、1千万円を超える修繕費が、クラウドファンディングで集まったそうです!
多くの方々によって、この『懐かしい』北斗星を守ろう、障がいを持つ方の雇用を守ろう、とする共感の声、そして温かい気持ちに、こちらが感動してしまいました。
手作り感溢れる、この顔出しスペースもいいですよね!
もちろん、息子は顔をにゅっとのぞかせていました♪
欧州では「飛び恥」により夜行寝台列車復活の傾向
日本においては現在、夜行寝台列車は、サンライズ瀬戸・出雲以外の定期運行はありません。
もう廃れ行く運命なのか…と、寂しく思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、時代に逆行するようですが、環境意識の高い欧州では、現在、夜行列車が見直され始めています。
地球温暖化対策の一環として、フランス政府は距離の短い国内航空路線を一部廃止し、衰退していた夜行列車を復活させる、社会インフラの改革に乗り出しています。
2時間半以内で行ける短距離区間の運航を禁止する、大胆な法案も可決されています。
所要時間は長くなりますが、飛行機に比べて二酸化炭素排出量の少ない、列車の利用を推奨する、
『フライトシェイム(英語: fight shame)・飛び恥(とびはじ)』
という言葉も生まれ、社会全体が環境重視の価値観へとシフトしています。
この流れで行くと、日本でも夜行寝台列車・食堂車が復活する可能性もゼロではありませんね。
てっちゃん息子が大喜びしそうです(^―^)
そうなった場合、当時の装備を大切に保管されてきた車両は、復活への参考になることでしょう。
おとなりには、日本庭園のあるデイサービス、 ベーカリー、お蕎麦屋さんがあります。
障がいを持つ方も働く、ぬくもりあるベーカリーです。
川口に行く際は、必ずまた寄りたいと思います!
ベーカリーレストラン グランシャリオ(Grand Chariot)
埼玉県川口市戸塚3-31-31
武蔵野線・埼玉高速鉄道東 川口駅南口徒歩7分 駐車場46台完備
電話:080-6859-5346
ではまた、次回。
レトロな世界でお会いしましょう!
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