日本は他の先進国に比べて、教育の家庭負担が大きい国です。
大学授業料の年代推移を見ながら、教育資金をどう備えるかについて見ていきたいと思います。
1975年の国立大学授業料、3万6千円
データが残っている、昭和50年の国立・私立大学の授業料を見てみましょう。
このグラフは、文部科学省『国立大学と私立大学の授業料等の推移』を基に作成したものです。
46年前、国立大学の授業料は年額3万6千円、私立大学の平均額は約18万円でした。
国立大学の授業料は、私立の約20%(5分の1)です。
当時の3万6千円を日銀の消費者物価指数で現在の価格に計算すると、約6万8千円。
物価変動を考えても、授業料は低く抑えられていました。
しかし、翌年の昭和51年には、約10万、3年後に約15万円へと爆上げされているから驚きです。
そして今現在、国立大学の授業料は年額約52万、一方、私立大学の平均授業料は約82万円です。
昭和50年、私立の約20%だった国立大学の授業料は、現在私立の約64%にまで推移しています。
また、私立の半額だった国立の入学料と検定料は、徐々に値上げされた結果、現在は私立大学と同程度に引き上がっています。
国公立大学は安くない!
国立大学の授業料は、法律で決まっています。
文部科学省令第十六号国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二十二条第四項の規定に基づき、国立大学等の授業料その他(入学料・検定料)の費用が定められています。
大学学部:520,800円(年額)、入学金:282,000円、検定料:17,000円
これは国が【標準として定める額】です。夜間や短大等には別の定めがあります。
規定とか標準とか、あ~、すでに頭痛くなってきましたぁヽ(゚Д゚)ノイヤァ━━━━!!
標準額のみで単純計算しても、国立大学の学部4年で支払う授業料等の合計は、約240万円です。
特別の事情があるときは規定する額からさらに20%アップまで国が認めています。
現在は、授業料を標準額ぴったりにしている国立大学が多いです。
しかし、関東の一部国立大学、例えば東京藝術大学・千葉大学・一橋大学などの授業料は標準額以上に設定されました。
授業料は年額63万円を超え、私立大学の平均授業料の8割に迫っています。
今後、他大学もこの流れに追随し、値上げする可能性は十分あります。
ひぇ~、さらに値上げとなぁヽ(゚Д゚)ノイヤァ━━━!! ━━ そげな大学、逆立ちしても入れんけどね ━━━━!!
高校卒業後の入学費用と在学費用(入在学費用)を累計すると、国公立大学では約783万円
(私立大学文系で約950万円、理系で1,109万円)というデータもあります。
【日本政策金融公庫】教育費に関する調査結果(2020年の自宅通学生のデータを参照)
自宅通学か、学生寮か、6年制の医学部かなど、教育費はいくらなのか一概には言えない数字ですが、これだけは言えます。
日本の国立大学は、決して安くありません。
私立大学の場合、特に理系や医学・薬学部となると、その金額はどーーーんと跳ね上がります。
進学資金についてもっと知りたい方は、下記サイトで調べることができます。
日本学生支援機構(JASSO)進学資金シミュレーター
教育資金 はじめの第一歩
地方出身の私からすると、東京での子育て・教育環境は戸惑いの連続です。
選択肢が多すぎて訳が分からないですし、大学だけでなく塾や予備校まで、数の多いこと、お値段の高いこと!
「もう、何をどうしたらいいのか分かりませ~ん!」
という私のような方のために、はじめの第一歩として、こちらの資料が参考になりそうでしたので、ご紹介します。
『キッズドア』 教育資金冊子『子どもの夢をかなえる「お金」の準備方法』
教育資金についてのアドバイスが、ぎゅっと詰まった一冊を、無料でダウンロードできます。
※NPO法人キッズドアさんは、無料学習会などを通じて、どんな環境にいる子どもでも、学ぶ機会を提供するため活動されている団体です。
授業料の免除・給付・貸与
大学、短大、高等専門学校、専門学校等での高等教育において、ぜひとも活用したいのが免除・給付などの支援制度です。
これらの支援も、一度免除等が通れば在学期間ずっと適用されるわけではない点に注意が必要です。
相続などで世帯収入に増加があったり、家庭の事情や病気などで成績評価が下がった場合には、支援を受けられなくなる可能性があります。
その他にも、学費の免除や奨学金を独自に制度化している大学は多く存在ます。
【河合塾 医進塾】給費生・特待生・奨学生入試を実施している国公立大学(医大)
【河合塾】2022年度 給費生・特待生・奨学生入試を実施している国公立大学
【河合塾】 2022年度 給費生・特待生・奨学生入試を実施している私立大学
各自治体にも、助成・給付金制度があります。
お住いの自治体ホームページをご確認ください。
例えば、東京都ですと「受験生チャレンジ支援貸付事業」があります。貸付ですが、高校・大学へ入学した場合に免除されるので、給付に近い制度です。
また、文部科学省では、コロナ対策の一環として高等教育の修学支援新制度を設けています。
使える制度は、使い倒しましょう~!
授業料無料、お金をもらいながら大学へ通う
授業料の心配をせず、タダで大学に通えたらいいですよね!
「自治医科大学」など、医療従事の条件付きで授業料が無料になる大学や、専門学校も存在します。
タダで学びながらお金がもらえるなら、さらに良しです。
もちろん、条件付きですけどね…。
各省庁の幹部候補生として入学し、学費免除かつお金が貰える大学へ通うという道です。
「防衛大学校」、「防衛医科大学校」、「海上保安大学校」、「気象大学校」を選択することで、それが可能になってきます。
学校・学部にもよりますが、寮生活が義務付けられていたり、制服があったりと規則は厳しめ、偏差値も高めです。
その他にも、回り道ですが授業料を減らしてお金をもらう方法はあります。
数年働いた後の話ですが、失業者に向けた雇用保険の「専門実践教育訓練」制度を活用する道です。
大学などの授業料などが70%支給され、基本手当の80%相当の教育訓練支援給付金がもらえる制度です。
支給額の上限の他、様々な条件がありますので、ハローワークに問い合わせると、詳しく教えてくれます。
高等教育を諦めた方、もしくは中退した方、働いたことで自分の学びを深堀りしたい方などに向けても、門戸は開かれています。
ご参考になれば幸いです。
大学生の2人に1人が奨学生 困っているなら相談を
「子どもの教育資金準備どころか、自分の奨学金返済で首が回らないよ~!」
そんな方もいらっしゃるかと思います。
労働者福祉中央協議会の調べによると、今や大学生の2人に1人が奨学金を利用しているそうです。
借入総額の平均は312.9万円、返還期間は平均14.1年と、厳しい現実が突き付けられています。
22歳で大学を卒業しても、36歳まで借金を背負っている状態ということです。
コロナの影響等で返済にお困りの方は、奨学金に関する電話相談が行われておりますので、利用してみてはいかがでしょうか。
【労働者福祉中央協議会】全国で開催!奨学金相談
日本学生支援機構(JASSO)の新型コロナウイルス感染症への対応については、随時更新されますので、HPでご確認ください。
一国の青年にさずけられる教育
『一国の青年にさずけられる教育を見れば、その国の運命を幾分でも予想することができる』
これは、126年前に発行された、フランスの社会学者ギュスターヴ・ル・ボン『群集心理』からの一文です。
学生が徴兵された、軍需工場で働かされた、学校も家も焼け野原にされた時代がありました。
「女に学はいらん」と、言われた時代がありました。
母方の祖母は、小学校しか通っておらず、自分の名前以外の字は書けませんでした。
「女だから」、「戦時だから」、「貧しいから」、「制度が使えないから」…
学びたくても、何らかの理由や条件が加われば学べない。
そんな時代は、そろそろ終焉を迎えて良い頃だと思います。
微力でも、できることからひとつひとつ、取り組んでいきたいと思います。
ではまた!
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