小学生の頃、鉛筆は何で削っていましたか?
「ナイフ」とお答えになる方は、昭和30年より前のお生まれではないでしょうか。
昭和29年 レトロすぎる『図画工作の教科書』
こちら、昭和29年発行、67年前の小学4年生用の『図画工作の教科書』です。
現在80歳くらいの方が、小学校で使っていた教科書ということになります。
レトロな表紙が、非常に可愛いですね。
ちなみに、一冊40円とあります。
昭和32年のデータですが、『物価の文化史事典』によると、食パンが26円、塩(1kg)が20円、たばこ1箱が40円、キャラメル1箱が20円とのこと。
こちらの図工の教科書は、キャラメル約2箱分ということになります。
現在価格で数百円くらいでしょうかね。
今の図工とは「刃物」が違う
昔の小学校は、どんな授業をしていたのだろうと考えながら表紙をめくると…
もくじ横の、これまたレトロなイラストを見て、私は思いました。
こんな刃物、今の小学生は持っていないなぁ…と。
昔の資料や映像などでは、こういったナイフで子どもが鉛筆を削っている姿は、よく見かける光景です。
最近、息子の鉛筆削り器が壊れて、カッターナイフで鉛筆を削ったのですが、綺麗に仕上げるのは難しすぎました。
木と鉛の部分で硬さが異なり、均一に削れないんです。
普段からナイフで鉛筆を削っていたら、手先が器用になるのも必然かもしれません。
『竹の工作』
ナイフぐらいでは驚きはなかったですが、こちらの章ではぐっと見入ってしまいました。
『竹の工作』では、竹トンボや竹笛が紹介され、それらを作る道具として「きり」、「竹ひきのこぎり」、「竹わりなた」が紹介されています。
のこぎりに、なた? なたですかっ…!?
小学校4年生に、「なた」を使わせる学校が、現在あるのでしょうか?
私自身、さすがになたに触れたことがありませんし、昭和30年代生まれのばあばすら、なたを使ったことはないと言います。
竹を工作で使ったことはありますが、竹串など、すでに加工されたものだけです。
竹わりなた(どこで売ってるんだ…!)で、竹トンボを作りましょう(竹をどこで手に入れて、どうやって作るんだ…!)とは、なんたる課題!
ものすごい教科書です。可愛くレトロなだけではございません。
昭和ならではの図工授業 『すみ絵』『くみもの・あみもの』
『竹の工作』の他に、これは昭和20年代ならではだなぁと感じたのが、こちらです。
『すみ絵』
墨を使って、絵を描く授業はなかったですね。
習字はありましたが、墨絵は身近な表現方法ではなかったです。
当時は、墨が身近であることがうかがえます。
黒の濃淡だけで絵を描くのは、とても高度なことだと思います。
さらにもうひとつ。
『くみもの・あみもの』
説明文には、
『身のまわりにあるつるや、わら・竹のかわなどで、いろいろなものをあみましょう』
とあります。
「せんせー! わらとか、竹の皮なんて、身近にありませーん!」
「せんせー! こんな編み方、難しすぎて、できそうにありませーん!」
なんて、手を挙げて叫びたくなります。
昔の人は、自然にあるものから身の回りの道具を手作りして生活する中で、手先が器用にならざるを得なかったのでしょうね。
生きていれば90を超える祖父は、ちょっとした木や竹のおもちゃを、ちゃちゃっと手作りしてくれました。
祖母も、息子が産まれた時、服やスタイ(よだれかけ)を手縫いで段ボール1箱分作って送ってくれました。
感じますね。
私、確実に、人として手先が「退化」しております…。
あえて、手作りに挑戦します!
今、生活の中で特別な刃物を使ったり、自然の素材を道具にする機会は減りました。
刃物といえば、はさみ、カッター、包丁くらいでしょうか。
そして、安全性が高くなりましたね。
彫刻刀も、刃の部分にはガードがついていて、指を切ったりしないようになっていますし、子ども用のはさみや包丁は、切れにくい設計になっています。
昭和の教科書を見ていると、感化されて手を動かしたくなってきます。
ポチッとするだけで何でも揃う時代ですが、何か夢中で手作業したくなるから不思議です。
今年のクリスマスリースは、昔の人を見習い、公園で小枝や松ぼっくりを拾ってきて、息子と手作りしてみたいと思います!
出来上がりましたら、ここに紹介します♪
ではまた、次回。
レトロな世界でお会いしましょう!
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